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2026.09.06

夏休み明け、子どもが登校できず不安を抱えている方へ

 夏休み明け、子どもが登校できず不安を抱えている方へ

長い夏休みが終わり、新学期が始まる時期。

「朝になると『学校に行きたくない』と言う」

「夏休み中は元気だったのに、新学期が近づくにつれて元気がなくなった」

「制服には着替えたけれど、玄関から出られない」

「学校へ行こうとすると、頭痛や腹痛、吐き気を訴える」

「夜になると、翌日の学校のことを考えて眠れない」

このようなお子さんの変化に、戸惑っている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

夏休み中は元気に過ごしていたのですから、

「どうして急に学校へ行けなくなったの?」

と思うのも無理はありません。

しかし、夏休み明けに学校へ行けなくなったり、不登校の状態になったりする背景には、単なる「休み癖」や「怠け」だけでは説明できない、さまざまな要因が隠れていることがあります。

今回は、夏休み明けに「学校に行けない」という子どもの心のサインについてお話しします。

「なぜ行かないの?」ではなく「なぜ行けないのだろう?」

子どもが学校へ行けなくなったとき、大切にしたいのが、

「なぜ学校に行かないのか」ではなく、「なぜ今、学校に行けないのだろう」

という視点です。

学校に行けなくなる理由は、一人ひとり違います。

友人関係やいじめ、勉強への不安、先生との関係、集団生活への疲れ、部活動など、学校生活そのものに負担を感じている場合があります。

夏休み中に生活リズムが変化し、朝起きることが難しくなっていることもあります。

また、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性があり、一学期の学校生活を本人なりに懸命に頑張った結果、夏休みに緊張が途切れ、新学期を前に負担が表面化することもあります。

不安や気分の落ち込みなど、心の不調が関係している場合もあります。

そして実際には、いくつかの要因が重なっていることも少なくありません。

ですから、最初から原因を一つに決めつけないことが大切です。

頭痛や腹痛は「仮病」とは限りません

学校へ行く朝になると、

「頭が痛い」

「お腹が痛い」

「気持ちが悪い」

と訴える。

ところが学校を休むと、午後には少し元気になっている。

その姿を見ると、

「本当は学校へ行けるのでは?」

と思ってしまうことがあるかもしれません。

しかし、不安や緊張などの心理的な負担に伴って、頭痛、腹痛、吐き気、動悸など、さまざまな身体症状が現れることがあります。

本人も意図的に症状を訴えているわけではなく、なぜ身体がつらくなるのか、自分でも説明できないことがあります。

もちろん、身体の病気が原因になっていないか確認することも重要です。

そのうえで、学校に行こうとすると繰り返し体調が悪くなる場合には、身体だけでなく、子どもの心や生活環境にも目を向けてみる必要があります。

子ども自身にも「理由が分からない」ことがあります

保護者としては、学校へ行けない理由を知りたいと思うのは当然です。

「学校で何かあったの?」

「誰かにいじめられているの?」

「先生が嫌なの?」

「勉強についていけないの?」

しかし、子ども自身にも、はっきりとした理由が分からないことがあります。

一つの大きな出来事が原因なのではなく、小さな不安や疲れがいくつも積み重なり、本人にも整理できない状態になっていることがあるからです。

そんなときに、

「どうして行けないの?」

「理由をちゃんと話して」

と繰り返し答えを求めることが、かえって子どもの負担になってしまう場合があります。

まずは、

「学校に行けないくらい、今はつらいんだね」

と、今の状態を受け止めることから始めてみてください。

理由を探すことより先に、「話しても大丈夫」と思える環境をつくることが大切な場合があります。

「無理に登校させる」か「ずっと休ませる」かの二択ではありません

保護者の方から、

「無理にでも学校へ行かせた方がいいのでしょうか?」

と相談を受けることがあります。

これは、とても難しい問題です。

すべてのお子さんに共通する一つの答えがあるわけではありません

心身の状態によっては、まず休養が必要なこともあります。

一方で、お子さんの状態や学校側の対応によっては、

「朝からではなく、少し遅れて登校する」

「保健室や別室から始める」

「午前中だけ登校する」

「好きな授業だけ参加してみる」

など、負担を調整しながら学校とのつながりを保つ方法を検討できることもあります。

大切なのは、「とにかく教室へ戻すこと」だけを目標にしないことです。

何が負担になっているのか。

今なら何ができそうなのか。

どの程度なら本人が安心して取り組めるのか。

お子さんの状態を見ながら、学校や必要な支援機関とも相談し、その子に合った方法を考えていくことが大切です。

「ゲームはできるのに、学校には行けない」のはなぜ?

学校を休んでいるのに、家ではゲームをしたり、動画を見たりしている。

そんな姿を見ると、

「遊ぶ元気があるなら、学校にも行けるのでは?」

と思うこともあるでしょう。

しかし、自宅という安心できる環境で好きなことができることと、決まった時間に起きて登校し、多くの人と関わりながら学校生活を送ることでは、必要とされる心身のエネルギーが異なります。

そのため、「ゲームができる=学校へ行ける」と単純には判断できません。

一方で、昼夜逆転など生活リズムの大きな乱れが続くと、心身の状態や学校生活への復帰に影響することもあります。

ゲームだけを取り上げて叱るのではなく、睡眠、起床時間、食事、日中の活動など、生活全体を見ながら少しずつ整えていくことが大切です。

こんな変化が続いていないでしょうか

学校へ行けないことに加えて、次のような変化がみられる場合には、お子さんの心身の状態を注意深く見てあげてください。

  • 朝になると強く体調を崩す
  • 頭痛、腹痛、吐き気などを繰り返す
  • 夜眠れない、朝まったく起きられない
  • 食欲が大きく変化した
  • イライラや不安が以前より強くなった
  • 自分を責める言葉が増えた
  • 好きだったことにも興味を示さなくなった
  • 家族との会話が極端に減った
  • 「消えたい」「いなくなりたい」「死にたい」などの発言がある

こうした状態が続いている場合には、医療機関など専門家への相談も検討してください。

特に、自分を傷つける行動がある場合や、「死にたい」といった発言がある場合、生命の危険が考えられる場合には、様子を見るだけにせず、速やかに医療機関など適切な支援につなげることが重要です。

不登校では「学校へ行ったか」だけを見ないこと

子どもが学校へ行けなくなると、どうしても大人の関心は、

「今日は学校へ行ったのか、行かなかったのか」

に集中しがちです。

しかし、本当に知りたいのは、その結果だけではありません。

「この子は今、何に困っているのだろう」

「何がこれほどつらくなっているのだろう」

と考えてみることが大切です。

学校へ行けないことそのものが問題なのではなく、本人が抱えている困りごとが「学校へ行けない」という形で現れている可能性もあります。

そして、つらいのはお子さんだけではありません。

「休ませていて大丈夫なのだろうか」

「私の接し方が悪かったのだろうか」

「このままずっと学校へ行けなくなったらどうしよう」

そう考え、保護者の方自身が疲れ切ってしまうこともあります。

お子さんの問題を、ご家族だけで抱え込む必要はありません。

医療機関に相談する目的は「診断をつけること」だけではありません

「精神科や心療内科へ相談すると、すぐに病名をつけられるのではないか」

と心配される保護者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、医療機関へ相談する目的は、診断名をつけることだけではありません。

お子さんのお話を伺い、家庭での様子、学校生活、睡眠や食事などの生活リズム、発達の特徴、心身の状態などを確認しながら、

「なぜ今、この子はつらくなっているのか」

を整理していくことにも大きな意味があります。

そのうえで、休養が必要なのか、生活リズムを整える必要があるのか、学校との環境調整が必要なのか、さらに専門的な評価や治療が必要なのかを考えていきます。

「学校に行きたくない」と言えたことも、大切なサインです

子どもが、

「学校に行きたくない」

と言ったとき。

その言葉をすぐに「甘え」「怠け」と決めつけるのではなく、

「この子は今、何かを伝えようとしているのかもしれない」

と考えてみてください。

子どもは、自分の苦しさを大人のように整理して説明できるとは限りません。

「行きたくない」という短い言葉の中に、不安、疲れ、怖さ、孤独、悔しさなど、さまざまな気持ちが隠れていることがあります。

その声に耳を傾けることが、最初の一歩になることがあります。

焦らなくても大丈夫です。

学校へ戻ることだけを急ぐのではなく、お子さんが安心を取り戻し、自分のペースで少しずつ前へ進める方法を一緒に探していくことが大切です。

夏休み明け、お子さんの様子がいつもと違う。

学校へ行こうとすると体調が悪くなる。

不登校が続き、どのように接すればよいのか分からない。

「このくらいで相談してもいいのかな」と迷っている段階でも構いません。

あかつき心のクリニックでは、お子さん一人ひとりの状態を丁寧に見ながら、ご家族のお話も伺い、これからどうしていけばよいのかを一緒に考えていきたいと思っています。

お子さんとご家族が、また少しずつ前へ進んでいけるように。

一人で悩まず、どうぞご相談ください。

あかつき心のクリニック
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