お知らせ

2026.09.29

睡眠薬は「怖い薬」なのでしょうか?
― 正しく知って、安全に使うために ―

睡眠薬は「怖い薬」なのでしょうか?
― 正しく知って、安全に使うために ―

 睡眠薬は「怖い薬」なのでしょうか?

― 正しく知って、安全に使うために ―

「睡眠薬を飲み始めたら、やめられなくなるのでは?」

「依存症になるのが怖い」

「できれば睡眠薬は飲みたくない」

診察の中で、このような不安をお聞きすることがあります。

確かに睡眠薬には注意すべき点があります。しかし、現在はさまざまな種類の睡眠薬があり、作用の仕組みや持続時間も異なります。

睡眠薬を必要以上に怖がるのではなく、自分の不眠のタイプに合った薬を、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。

睡眠薬には「短く効く薬」と「長く効く薬」があります

睡眠薬は、作用する時間によって超短時間型・短時間型・中間型・長時間型などに分類されることがあります。

たとえば、

「なかなか寝つけない」
という入眠困難には、比較的作用時間の短い薬が選択されることがあります。

一方、

「夜中に何度も目が覚める」
「朝早く目が覚めて、その後眠れない」

といった場合には、不眠の状態や年齢、翌日の生活などを考えながら薬を選びます。

「長く効く薬の方が強い」「短い薬だから安全」という単純なものではありません。

どの時間帯の睡眠に問題があるのかを確認して、薬を選ぶことが重要です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系は、以前から使用されてきた睡眠薬です。

脳の興奮を抑えて、眠りを促す作用があります。

適切に使用すれば有用な薬ですが、長期間の使用では耐性や依存、急な中止による離脱症状などに注意する必要があります。また、眠気、ふらつき、転倒、健忘などにも注意が必要で、特に高齢の方では慎重な使用が求められます。

そのため、

自己判断で量を増やしたり、長期間服用している薬を突然やめたりしないこと

が大切です。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる睡眠薬もあります。

ベンゾジアゼピン系とは化学構造が異なりますが、似た仕組みで睡眠を促します。

比較的、寝つきの悪さに使われることがあります。

ただし、「非ベンゾジアゼピンだから依存や副作用がまったくない」という意味ではありません。

こちらも医師の指示に従って適切に使用することが重要です。日本睡眠学会も、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系のほか、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬など複数の選択肢を挙げています。

最近は「眠らせる」だけではない新しいタイプの薬も

近年、不眠症治療ではオレキシン受容体拮抗薬というタイプの薬も使われています。

オレキシンは、私たちの「覚醒」を維持することに関係しています。

オレキシン受容体拮抗薬は、その覚醒システムの働きを抑えることによって睡眠を促します。従来のベンゾジアゼピン系とは作用の仕組みが異なります。

そして新しい選択肢の一つが、ボルズィ®(一般名:ボルノレキサント)です。

ボルズィ®は2025年8月に国内で不眠症治療薬として承認され、同年11月に販売が開始されました。オレキシンのOX1・OX2受容体を阻害する薬で、入眠困難と睡眠維持困難の改善が確認されています。また、比較的短い消失半減期を持つよう設計され、翌日への持ち越しを少なくすることが期待されています。

もちろん、新しい薬だから誰にでも最適ということではありません。

ほかの薬との相互作用などにも注意が必要で、ボルズィ®にも併用できない薬や使用上の注意があります。

「睡眠薬は怖いから飲まない」ではなく

睡眠薬について大切なのは、

「睡眠薬は怖い薬だから使わない」

でも、

「眠れないから自分の判断で増やす」

でもありません。

不眠には、寝つけない、途中で目が覚める、朝早く目覚めるなど、さまざまなタイプがあります。

年齢、体質、ほかに服用している薬、仕事や生活時間などによっても適した治療は変わります。

現在では、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系だけでなく、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬など、治療の選択肢が増えています。

医師が状態を確認し、必要性・効果・副作用を考えながら適切な薬を選び、決められた用法・用量で使用する。

これが何より大切です。

睡眠薬は、必要以上に恐れるものではありません。

一方で、自己判断で増量したり、中止したりする薬でもありません。

「眠れない」という悩みを一人で抱え込まず、その方に合った安全な治療方法を一緒に考えていきましょう。

あかつき心のクリニック
院長

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